特定技能の給食はどうなる?外食業の受入れ停止と2027年度の見直し案
この記事の要点
- 外食業の特定技能1号は、2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付が止まっています(決定済み・実施中)。更新、外食業の中での転職、2号への移行は通常どおり審査されます。
- 10月19日の有識者会議で、病院・介護施設・学校などの給食を、令和9年度(2027年4月)の新規申請から飲食料品製造業で受け入れる案が示されました。まだ「案」で、正式には決まっていません。
- 案の資料に受入れ見込数を増やす記載はなく、案のとおりになれば、給食は飲食料品製造業の枠(1号 133,500人)の中で受け入れる形になります。
- 試験や日本語の要件、すでに給食で働いている人の扱いなどは、まだ示されていません。
病院や介護施設の厨房で、特定技能の外国人を新しく採用できない状態が続いています。2026年4月から、特定技能「外食業」分野の新規の受入れが止まっているためです。
その一方で、10月19日の政府の有識者会議では、給食の仕事を「飲食料品製造業」分野で受け入れる見直し案が示されました。この記事では、2026年10月26日時点で出入国在留管理庁と農林水産省の資料で確認できたことを、決まっていることと案の段階のことに分けて整理します。
結論:いま決まっていること、まだ案のこと
| 項目 | 状況 | 内容 |
|---|---|---|
| 外食業1号の新規受入れ | 決定・実施中 | 2026年4月13日から在留資格認定証明書の交付を一時停止 |
| 更新・外食業内の転職・2号への移行 | 決定・実施中 | 通常どおり審査 |
| 外食業特定技能1号評価試験 | 決定・実施中 | 当面、国内外とも実施しない |
| 外食業の受入れ再開 | 未定 | 再開するかどうかを含めて未定 |
| 給食を飲食料品製造業で受け入れる | 案 | 令和9年度(2027年4月〜)の新規申請分から、緊急的措置として |
| 受入れ見込数 | 案 | 案の資料に、見込数を増やす記載はない |
| 正式決定の時期 | 報道 | 2026年12月の閣議決定を目指すと報じられている(会議資料に日付の記載はない) |
病院・介護施設・給食会社の方にとっての要点は、外食業での新規の受け入れは止まっていて再開の時期は決まっておらず、2027年4月からは飲食料品製造業として受け入れられる可能性がある、ということです。ただし、どの事業所が対象になるか、どの試験に合格した人が対象になるかは、まだ確定していません。
外食業の受入れ停止とは
停止の理由と時期
農林水産省は2026年3月27日、外食業分野の特定技能1号について、在留資格認定証明書の交付を4月13日から一時的に停止すると発表しました。外食業の1号の在留者数が、受入れの上限である5万人を超える見込みになったためです。
出入国在留管理庁の統計では、2026年6月末時点の外食業の1号在留者数は49,060人(速報値)で、上限の約98%にあたります。
申請の種類ごとの扱い
出入国在留管理庁は、申請の種類ごとに次のように扱っています(2026年10月16日時点の処理状況。最新の状況は出典のページで確認してください)。
| 申請の種類 | 扱い | 処理の状況(10月16日時点) |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書の交付申請(海外から呼ぶ) | 4月13日以降の受付分は原則交付しない | 受付日が2026年2月6日までの申請を、受付順に交付 |
| 在留資格の変更:技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)から | 例外として審査を継続 | 受付日が2026年9月30日までの申請を処理 |
| 在留資格の変更:特定活動(特定技能1号移行準備・外食業)から | 例外として審査を継続 | 受付日が2026年9月30日までの申請を処理 |
| 在留資格の変更:外食業の中での転職 | すべて審査 | 制限なし |
| 在留資格の変更:上記以外(留学、ほかの分野など)から | 4月13日以降の受付分は原則不許可 | 受付日が2026年4月12日までの申請を処理 |
| 在留期間の更新 | 通常どおり審査 | ― |
表の日付は締め切りではなく、「どこまで審査が進んだか」を示すものです。審査は受付順が基本ですが、申請内容や在留期限によって前後することがあると説明されています。
すでに働いている人はどうなるか
すでに外食業の特定技能1号で働いている人は、在留期間の更新、外食業の中での転職、特定技能2号への移行が、これまでどおり審査されます。転職を受け入れる会社は、外食業の協議会の加入証が必要です。
なお、外食業特定技能1号評価試験は当面実施されません。農林水産省のQ&Aでは、2号評価試験は国内で6月からCBT方式で実施するとされています。
受入れは再開されるか
農林水産省のQ&Aでは、再開するかどうかを含めて「未定」とされています。上限に十分な余裕が出たと判断した場合は、事前に知らせたうえで交付を再開する想定とされています。
給食は、いまどの分野で受け入れているか
給食の仕事は、これまで主に二つの分野にまたがって扱われてきました。
- 外食業分野:病院や介護施設などの給食。今回の停止の影響を直接受けています。
- 飲食料品製造業分野:セントラルキッチンのように接客のない事業所。学校給食センター、惣菜や弁当の製造なども、こちらの扱いです。
つまり、同じ「給食」でも、施設の中で調理する病院や介護施設の厨房は外食業、工場型の調理施設は飲食料品製造業、という線引きでした。外食業の停止によって、前者だけが新しい受け入れをできなくなっています。
10月19日に示された見直し案
何を変える案か 案
資料2-2「外食業分野における医療・福祉施設給食業等の飲食料品製造業分野での受入れ(案)について」では、令和9年度から、新規申請分について、緊急的措置として飲食料品製造業分野で受け入れる案が示されました。具体的には次の2点です。
- 育成就労の外食業分野で主たる技能とされている「医療・福祉施設給食製造」を、飲食料品製造業の業務区分に付け替える。
- 飲食料品製造業分野の受入れ対象(上乗せ告示)に、日本標準産業分類の中分類「81 学校教育」「82 その他の教育、学習支援業」「83 医療業」「85 社会保険・社会福祉・介護事業」を営む事業所で、小分類「773 施設給食業」を営む場合を加える。
| 給食の場所 | 現在 | 見直し案(令和9年度の新規申請から) |
|---|---|---|
| 病院・介護施設・学校などでの調理 | 外食業(新規は停止中) | 飲食料品製造業 |
| セントラルキッチン・学校給食センター | 飲食料品製造業 | 変更なし |
| 店舗・社員食堂 | 外食業 | 外食業のまま(資料の図による) |
見直しの理由
資料では、次のような理由が挙げられています。
- 給食の事業所は、接客の割合が低いことが多い。
- 給食等調理員(学校給食を除く)の有効求人倍率が7.37倍と高い(2026年5月。職業全体は0.99倍)。
- 日本メディカル給食協会の会員事業者への調査(38社中34社が回答)で、求人の充足率が**33.0%**にとどまった。
受入れ見込数は増えない案
2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針で、飲食料品製造業の特定技能1号の受入れ見込数は133,500人、外食業は50,000人です(2029年3月末までの上限)。今回の案の資料に、飲食料品製造業の見込数を増やす記載はありません。
飲食料品製造業の1号在留者数は、2026年6月末で100,769人(速報値)で、見込数の約75%です。案のとおりになれば、食品工場と給食の事業所が同じ枠を使うことになります。
まだ決まっていないこと
10月26日時点で、次の点は資料で示されていません。採用の計画を立てるうえで大事な点が多いので、正式な決定と運用要領を待つ必要があります。
- 給食で新しく受け入れる人に求める試験と日本語の要件(飲食料品製造業の試験か、外食業の試験の合格者も対象になるか)
- すでに外食業の1号で給食の仕事をしている人の扱い(外食業のままか、分野の変更が必要か)
- 技能実習「医療・福祉施設給食製造」を修了した人の、令和9年度以降の移行先
- 給食の受託会社や社員食堂の線引き、病院・施設が自ら運営する給食部門と受託会社の扱いの違い(告示の確定した文言が必要)
- 外食業の受入れ停止を続けるかどうか
今後の流れは、報道では2026年12月の閣議決定を目指すとされています。その後、告示や運用要領が改正され、2027年4月から新しい扱いが始まる、という順番が見込まれます。
立場別:いまから準備できること
病院・介護施設(給食を自ら運営)
自ら運営する給食部門が対象になるかは、告示の確定した文言で確認する必要があります。
給食の受託会社
食品工場(すでに飲食料品製造業で受け入れている会社)
海外から採用する場合
海外から呼ぶ場合は、試験の合格、書類の準備、在留資格認定証明書の審査、来日の準備が必要で、数か月単位の時間がかかります。2027年4月以降の採用を考えるなら、制度の確定を待ちながらも、候補者の日本語力の確認や、受け入れ体制の準備は先に進めておくことができます。
ラムナーリンクの見方(制度の説明ではなく、私たちの考えです)
給食の仕事が飲食料品製造業として扱われる場合、衛生管理の考え方は食品工場と共通する部分が多くなります。一方で、病院食や介護食には治療食やアレルギーへの対応など、細かな指示が多くあります。採用の段階で、日本語の指示を本人がどこまで理解できるかを、具体的な場面で確かめておくことが大切だと考えています。
よくある質問
外食業の受入れ停止はいつまで続きますか?
再開するかどうかを含めて未定です。農林水産省は、上限に十分な余裕が出たと判断した場合に、事前に知らせたうえで再開する想定としています。
いま給食で働いている外食業1号の人は、更新できますか?
在留期間の更新は通常どおり審査されます。外食業の中での転職や、2号への移行も審査の対象です。
病院の給食で、新しく特定技能の人を採用できるのはいつからですか?
見直し案では、令和9年度(2027年4月)の新規申請から、飲食料品製造業として受け入れる形が示されています。まだ案の段階で、正式な決定を待つ必要があります。
給食の受託会社も対象になりますか?
案の資料では、学校・医療・社会福祉などの事業所で「施設給食業」を営む場合を加えるとされています。受託会社がどのように扱われるかは、告示の確定した文言を確認する必要があります。
食品工場の採用に影響はありますか?
案の資料に受入れ見込数を増やす記載はないため、案のとおりになれば、給食と食品工場が飲食料品製造業の同じ枠を使うことになります。2026年6月末時点で、枠の約75%が使われています。
まとめ
外食業の新規受入れが止まっているいま、病院・介護施設の給食で特定技能の人を新しく迎えるには、2027年4月からの見直しを待つことになりそうです。ただし、見直しはまだ案の段階で、試験や対象となる事業所などの細かな点はこれから決まります。
この記事は、正式に決定した時点や、運用要領が公表された時点で更新します。在留資格の申請書類の作成が必要な場合は、行政書士などの専門家にご相談ください。
出典(公的機関の資料)
この記事は、公開日または更新日の時点で確認できた情報にもとづく一般的な説明です。制度は変わることがあります。個別の事案は、出入国在留管理庁などの関係機関や、行政書士・弁護士などの専門家にご確認ください。編集方針